気持のいい鉛筆画
自宅にて
この間やっと『四角形の歴史』という書下しを脱稿した。大人の絵本シリーズの3冊目で、別名は子供の哲学ということにしている。子供というのは疑問だらけの頭をもっていて、その疑問に一つ一つ目をつぶりながら、人間は大人になっていく。きのうがあって、今日があって、次は明日があるらしい。時間というのはいつまでつづくのか。時間の果てはどうなっているのか。等々、子供の頭はそれが不思議で考えている。でも答は見つからない。そんなことばかり考えていては生活ができないので、その問題には目をつぶってみんな大人になるわけである。そういう問題を大人のいまになってしつっこく掘り返して、絵本にしているのだ。
これまでに『ふしぎなお金』と『自分の謎』と2冊出して、そして『四角形……』である。いまぼくは昔ながらの原稿用紙で原稿を書いているけど、この原稿用紙は四角形だ。枡目も全部四角形だ。机も四角形、部屋も四角形、窓も四角形。おそらく皆さんが前にしているパソコンのモニターも四角形、キーボードも四角形、とにかく世の中は四角形だらけだけど、でも自然界に四角形はどこにもない。人間は四角形をいつごろ、どうやって手に入れたのか、というのが発端である。
絵は全部鉛筆で描いている。色も使いたいが、ぼくは色使いが下手だ。色を選ぶのは好きだ。だから写真はやりやすいのだけど、絵の中に色を使うとなるとどうしても台無しになる。だから長年のコンプレックスがある。
でも鉛筆にはコンプレックスがない。子供のころから使っていて、鉛筆で文字も書くし、絵を描く。失敗したら消ゴムで消すから、プレッシャーがない。最近6Bの鉛筆を見つけて、それも愛用している。そんなふうで、この書下しは気持よかった。誰も考えたことのない問題だから、勝手な場面を絵に描くのが気持よかった。

|
|
 |
|
|