夏の緊急体制
パリにて
学校が終わってバカンスシーズンに入った。6月29日、リベラシオン紙の創刊メンバーのひとりで、ずっと社長を務めてきたセルジュ・ジュリーが辞職した。多額な赤字をかかえた同紙(「新聞の危機」参照)の経営方針について、筆頭株主ロスチャイルドと意見がくい違ったことが原因だ。33年のあいだ「ぬし」として、リベのスタイルと精神を体現してきた彼が去るのは、ひとつの時代の終わりを告げるようでさびしい。リベ特有の色気のあるユーモアと言葉遊びのセンス、批判精神、そして(いつもではないにしても)優れたルポが生き長らえてくれるといいのだが……。ロスチャイルドと「リベラシオン従業員民事会社」の暫定的共同経営が従業員の選挙によって決めたものの、先はよく見えない。
そんな危機的状況の中、リベラシオン紙は先週の月曜から土曜までの毎日、サン・パピエ(非合法滞在の外国人)の子どもたちの代父母になり、国境なき教育網(RESF)と共に彼らの合法化を訴えた。「国外追放しない」とサルコジ内相が保障した最後の週だったからだ(「代父母縁組」参照)。リュマニテ紙も6月22日付けの第一面に、「彼らを去らせないぞ」というタイトルを掲げた。二紙は子どもたちを擁護する政治的立場を明確にとったわけだが、新聞社としての態度を表明しないル・モンドやフィガロ、各地方紙、無料新聞、そしてイギリス、スペイン、ドイツなどの新聞も、サン・パピエの子どもたちを庇護する市民運動の広がりを報道した。国境なき教育網のよびかけた声明文には既に84500人以上(7月4日現在)が署名し、「子ども狩りに反対」と題した人権連盟(LDH)の声明文には、女優のイザベル・アジャーニ、演出家のパトリス・シェロー、作家のダニエル・ペナック、作曲家のピエール・ブーレーズなど著名人が名前を連ねた。
さて、対処を(少し)緩和すると譲歩したサルコジ内相は、6月13日に各県庁にあてて通達を出した。すると、この通達によって滞在許可がもらえると期待したサン・パピエたちが、県庁や担当の役所に続々とつめかけた。大勢の人が夜中から並んで待っているが、その期待はナイーブすぎるようだ。6つの合法化の条件の中には「フランス語の修得、子どもの学習のフォローなど、フランス社会に統合しようという明らかな意志を家族が示している」といった客観的な判断が微妙な項目も含まれているため、県や担当の役人によってさまざまな解釈と対処が行われることが予想されており、国境なき教育網は「曖昧な表現は合法化を拒否するための方便だ」と批判している。それに、条件を満たさない家族や、就学中に成人した18歳以上の若者の合法化の可能性は閉ざされ、審査で拒否された場合に請願する余地も残されていないため、国外追放になる人々の方が多いだろうと懸念する。
サルコジは書類審査が難航した場合の仲介者に、弁護士のアルノー・クラルスフェルドを任命し、書類提出の期限を2か月後の8月13日に定めた。金曜までにパリだけで1750のアポが与えられたが、サン・パピエの人々の数を政府は把握しておらず、国境なき教育網は1万人以上を推定しているから、役所の事務能力が極端に落ちるバカンス中にどのくらい書類審査や「仲介」ができるか、疑わしい。
7月1日にはパリとマルセイユでサン・パピエの子どもたち擁護のデモが行われた(パリのデモには警察発表で1万人、主催者側5万人が参加)。国境なき教育網とキリスト教系の移民・難民援助組織シマッドは、緊急時に備えてホットラインとメールアドレスを開設し、バカンス中の緊急体制があちこちで整えられている。
この運動は、ふだんはあまり政治に関与しない「ふつうの」人々が、自発的に行動を起こした点がめざましい。パリ20区に住む友人もそのひとりだが、自分の子と同じ学校に通う子どもが国外追放のような不当な扱いを受けることに、ショックを受けた人が多いのだ。「毎日顔を合わせる子どもにそんなことが起きるなんて……9月にその子がクラスに戻ってこなかったら、自分の子どもに何をどう説明しろというの?」と彼女は言う。これはとても基本的な問いかけではないだろうか。
ところで対ブラジル戦のフランスチーム、歓びがありましたね。サッカーの魔法が起きたすばらしいプレーだった。フランスじゅうがすっかりご機嫌になったところで、移民に対する態度をはじめ、寛容な精神がふくらむといいのだけれど。

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6月30日のリベラシオン紙の第一面
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