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思い出はトラウマ
仕事場にて
どこかの研究者によると、
人間は楽しい思い出よりも、
トラウマになるようなつらい体験の方が記憶に残りやすいらしい。
そういえば、ボクも生まれて最初の記憶は3歳のころかな。
昔住んでた家の大きな箪笥の前で叱られて泣いている記憶だ。
他にも自転車でガードレールにぶつかった瞬間や、
遅刻して先生に叱られた朝の教室とか、
イヤな場面は今でもまざまざと脳裏に甦る。
おそらくイヤな記憶を優先させた方が、
再び同種の危険が及んだ時、
それを回避できる可能性が高いってんで
その個体の生存には都合がいいんだろうなー。
でも、なんか損だよね。
いろいろ旅行したり、お酒飲んだり、楽しいこといっぱいしても、
みんな忘れちゃって、
思い出せるのは小さい頃叱られた記憶、なんてイヤだよねー。
この1週間も事務所でみんなで歌とか披露しあう
「さるハゲ歌合戦」というミニロックフェスみたいな飲み会やったり、
子供連れてスキーに行ったり
それはもう生きててよかったってくらい楽しいことばかりだったのに、
きっとその楽しさはピンクの霧が晴れるように消えていって、
後に残るのは出発前の深夜、原稿に間違いが発見されて、
その修正のためにスキーを1日あきらめた苦い思い出だけなんだろうな。
イヤだねー。
で、ちょうど今その「さるハゲ歌合戦」の
楽しかった記憶を少しでもとどめようと
その時のビデオを編集してDVDに保存しようとしてるんだけどね。
そんなことをしてもやっぱり薄らいでいくあの瞬間のあの場の空気、
「こんな楽しいことってあるんだ」みたいなキモチが
消えてゆくのが惜しくてしょうがない。
思えば今までずいぶん楽しいことしてきたなー。
飛行機の上から見たタクラマカン砂漠、
子供が初めて泳いだホテルのプール、
仲間が集まって朝まで騒いで飲んだ夜、
日本海をひとりで旅してて
ふと降りた駅で食べたまるごとのカニのおいしさ。
そんな楽しい思い出をこれでもか、これでもか、と作ってきたはずなのに
その記憶が薄れてゆく。
記憶に残らない楽しいことなんて最初っからないも同然。
アレはいったいなんだったんだろう。
記憶に残らない人生って果たして生きたことになるんだろうか?
あー写真やDVDじゃ足りない、
楽しい記憶をいっぱい保存できる外付けハードディスクが欲しい。
もう1億テラくらいのハードディスクを脳みそに接続して
楽しい記憶を1バイトも逃さず記録しておきたい。
で、好きな時に好きなファイルを開いて
その時の楽しい記憶を甦らせたい。
デジタルだから劣化しない。
死んだら形見に残す。
墓の中には骨壷の代わりに先祖のハードディスクが積み上げられる。
そんなハードディスク誰か作らないかなー。
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