近況
空き地にて
我が家の前に出現した空き地は、年が明けても、まだ売れず、空き地のままである。いつのまにか、さまざまな車が入ってきて勝手に駐車するようになった。これは空き地のネコ兄妹にとってはラッキーなことで、運転手の姿が消えるやいなや、ボンネットに飛び乗って暖をとることができまする。
車の中には怪しいのもあって、数百万円はする外車が数日間置きっぱなしになっていたときは、盗賊団が関与しているのではないかと街の噂になったものだが、猫たちはその点のんきなもので、エンジンが冷えてからはボディーの下に潜り込んで、風よけ雨よけにしていた。
ただ侵入してくるのは車だけではない。領地拡大を図る余所の猫たちもやって来ては、地上げしようとする。もっとも凶悪なのは、どこからともなくやってくる鈴猫で、在のネコたちを威嚇して餌を横取りする。初めは飼い主がいなくなった猫かと思われていたが、鈴が取れたと思ったら、次の日には新しい鈴を付けてもらって登場したので、これは現役の家猫だと分かり、急速に住民(ヒト)の増悪の的となった。もちろん本当は、鈴は新調するくせに碌に餌を与えない飼い主が非難されるべきなのだが、どこの誰か分からないので、猫が嫌われるのである。
人間は嫌って「しっ」とか言っていればよいが、侵入され、餌まで取られるネコ兄妹たちにとっては、鈴猫など(住民はこちらをノラと呼んでいます)の出現は由々しき事態なわけで、シロちゃん一号が率先して見張りに立っているが……。
(あ、報告し忘れていたかも知れません。以前はクロちゃんが采配をふって、餌の食べ方や寝床の使い方まで4匹が平等になるようにしていたのですが、業務がストレスだったのでしょう。ある日、首の回りに円形ならぬ月形脱毛が生じました。それは数日で自然治癒とあいなったのですが、それを機に、クロはあっさりと管理職を、避妊処置ボランティアに耳の先を切られたシロちゃん二号に譲った(のか、押しつけた)のであります。しかし、その二号もまもなく後ろ足を負傷。住民は鈴ノラのせいだとますます増悪を募らせ、他方、指揮権はシロちゃん一号に移りました)
というわけで、一号ちゃんが見張りをしているのだが、鈴の音が聞こえてくると走り回って兄妹たちに教え、あっと言う間に皆してどこかへ消えてしまう。彼らは4匹だけでなく、ときどき実家のあった空き地に戻ってくる仮面ちゃんや牛ブチもいるのだから、全員で力を合わせれば鈴ノラの1匹くらい撃退できそうなものだが、ま、逃げるが勝ちというのが上知なのかも知れない。
もっとも、この空き地の前の小さな家には、セイシンカイをお供に散歩をするのが好きなミケがいて、彼女に出くわしたときばかりは鈴ノラも寒空に涼しい鈴の音を響かせて一目散に退散するので、ネコ兄妹たちはどこへも行かず、「お姉さんありがとう」とばかりに「お鼻ちゅんちゅん」をしに近づいてくる。

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