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先見日記

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2008 Apr 22
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昭和のにおい
08年の東京にて

 朝、通勤電車の中で読み始めて、つい乗り過ごして、職場についたらさすがに仕事に専念したが、それでも昼休みには読み耽って、帰りの電車で読んで、また乗り過ごして、家では心置きなくずっと読んで……次の日も、次の次の日も同じように過ごして、3日目の深夜読了。あー、面白かった。
 浅羽通明著『昭和三十年代主義―もう成長しない日本』(幻冬舎)である。

 僕がアメリカから日本に戻って来たのがちょうど昭和30年だった。年表の類いをみると、東京辺りではちゃんとテレビ放送なんかも始まっていたことになっているが、アメリカで、土曜日の朝には7時頃からバッグス・バニーやドナルド・ダックのアニメをずうっとやっていたのに比べると、え? いつ番組を放送しているんですかと聞きたくなるほどテスト・パターンばかりだった。
 冷蔵庫が電気じゃなくて氷で冷やすものだとか、洗濯機の代わりに盥にたわしだとかというのは、こどもにはどうでもいいことだった。そんなことより、学校で生徒は皆裸足で、体操の時間となるとそのまま外へ出る、というのが解せなかった。靴を履いてないと足が痛いじゃない……。

 学校も含めて町中、糞便の臭いが充満しているのも気絶しそうなほど堪らなかった。なぜ、汲取なんてことをするんですか、と教師に尋ねたら、畑に撒いて肥料にするのだとか。以来、僕は“有機栽培”なるものを信用しない。
 臭いばかりか、音も酷かった。往来では大人が喧嘩をしているし、商人が大声で「ラッシャイ、ラッシャイ」と叫んでいるし、荷馬車が凄まじい音を立てて舗装していない道をやってくるし(まるで、学校で習った100年前のニューヨーク)。
 と、僕にとって昭和30年代というのは、一言で言うと“野蛮”そのものだった。

 しかし、浅羽さんの本を読んで、『ALWAYS 三丁目の夕日』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』『木更津キャッツアイ』(いずれも未見)などの映画の意味するもの、つまり著者の言うところの“昭和三十年代主義”の何たるかを手に取るように具体的に理解した。そして、あの臭くて喧噪に満ちていた世界にも、我々の未来の参考になる生き方のヒントが隠れていたのだと知ったのである。

End

















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