21世紀の生き方
自宅にて
所帯の違う長男から連絡があって、使っている携帯電話会社でも家族同士の通話がタダになる“サービス”が始まったから、申し込むとよいと勧められた。息子の方ではもう手続きを済ませたが、それだけで双方向の通話が無料になったかは分からない、となんだか頼りないことを言う。なんでも店員が中国人で、話がよく通じなかったのだとか。
ともあれ、そういうことならと電話した。すると、いきなり
「ありがとうございます。○○お客様センターです。ただいま災害による影響で、被災地への通信は非常に接続しづらくなっております……なお、安否情報を確認される場合は……」
じっと待っているしかない。その後2段階にわたる、何々の方はどの数字を押してくださいという指示に従って、ようやくオペレーターに繋がる。
用件を言い、向こうの質問に答えて……と、簡単に行くと思ったら、どっこい。マニュアルが悪いのか、オペレーターの言う日本語がよく分かりません。いちいち、それってこういう意味ですか? と聞かないといけない。しかも、僕は電話を2台持っているのだが、1台毎に暗証番号がわりの生年月日を聞かれる!
「あの、同じ人間なのですが……」
「はい、それではご住所を」
「それも、さっきのと同じに決まっているでしょ」
「はい」
あちらはあくまで平静。
ついでに同居している次男の手続きもしてしまおうと思って、電話を息子に代わると言ったら、
「現在息子さんがそちらにいらして、今、この電話にお出になられるということですか?」
僕の日本語に、それ以外のどんな意味がありうるのだろう。
こういう調子で手続きが終わった。いや、終わりましたと言われても、全然すっきりしませぬ。最後に、なにかお尋ねになりたいことはないかと聞かれたので、家族中の番号毎に間違いなく双方向無料となるのか確認しようと思ったら、自分の電話番号を読み違えたらしい。
「そのような番号はございませんが、おそらくお客様の方でお間違えだと思いますので、もういちどおっしゃってみていただけませんか」
え? と思って、やり直すと、立ち所に、
「はい、結構でございます」
え。これは読み上げテストでごわしたか!
いや、イジワル! と言うべきか。明らかに彼女が見ている画面には、その番号が出ているんじゃありませんか。当然です。それまでにその番号について何度も話していたんだから。
こんな目にあったからと言って、僕は、おばかなマニュアルのせいで日本の若者がオカシクなっている、と公憤を装って怒ったり、多分○モバイルの攻勢を躱すために嫌々“サービス”しているだけだろうと勘ぐったりはしないのである。要は、店頭で中国人の店員の説明を聞くのと変わりがないわけねと達観していればいいだけのこと。
そういえば以前、日記で、お台場のシネマ・メディアージュのことを書きましたね。ガラ空きなのに、途中で入場してその箇所まで見るんなら2枚切符を買ってもらうと言い張った切符販売の若者がいた話。あのときも僕と友人は激することなく、「はいはい」とおとなしく、ぴったり上映開始時間に入場し、中では人手を省いた館員不在をいいことに、こっちの洋画あっちの邦画と、気ままな断片2本立てをやって遊んだのでした。
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