ジンパ
札幌にて
本州各地が次第に梅雨明けして、すでに猛暑に見舞われているようですが、北海道はいたって過ごしやすい日々が続いています。北大キャンパスにも、数多くの市民、観光客が散策に訪れています。
大学着任後最初の日記でも書いたように、北大キャンパスは散策する上での名所には事欠きません。ポプラ並木やクラーク像(多くの観光客が勘違いしているのですが、クラーク博士の有名な「立像」があるのは市街地近郊の羊ヶ丘。北大内にあるのは「胸像」です)はもちろんですが、僕がふだん仕事をしている理学部の旧館も、総合博物館として開学以来の貴重な研究資料などを公開しており、修学旅行生などがたびたび訪れています。前回の日記で言及した7月19日のサイエンスカフェは、この博物館で現在開催されている『分子のかたち展』という展覧会と連動して行われたものです。
ともあれ、ある種のパブリックスペースのように多くの人々を惹きつけている北大キャンパスですが、春から夏にかけて、夕暮れ時に訪れると、ある光景を目の当たりにして軽く驚くことがあります。農学部前の広場と、理学部横の通称「エルムの森広場」の各所に人が集まり、もうもうと煙をあげて何やら調理しながら飲食をしている光景です。北大関係者の慣習である「ジンパ」、ジンギスカンパーティです。
ジンギスカンはあまりにもありふれた「道民食」ですが、まさか大学構内で楽しめることには、北海道生まれの僕もさすがに最初は驚きました。そもそも、野外での火気使用が許可されている大学が、全国的にどれくらいあるのか知りませんが、おそらく北大だけのような気がします。「ジンギスカンは、大学関係者のみ許可されています」との立て札があったり、残った木炭を廃棄する容器が置かれていたり、大学生協でも、レンタルの七輪や羊肉、野菜などのセットになって販売されているのですから、北海道の大学ならではの特権的な経験であることは間違いないでしょう。
僕が所属するユニットではいち早く、5月末にジンパが挙行されました。ひどく肌寒い時だったので、がっちり着込んだ姿で羊肉を頬張り、ビールを飲みながら、この大学なりの、ある種の「通過儀礼」のようなものかな、と実感した次第です。短い夏が終わる頃まで、ジンパの煙が絶えることはなさそうです。
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